巨神と誓女をリアルタイムプレイ風で(いまさら)振り返る連載 with アイノさんのペルソナ。
前回は”廃園の巨神”の物語に触れたことによりアイノさんのこのゲームに対する見方ががらりと変わった話を書きました。
前回の記事はこちら。
今回はイベントで順次追加されていった巨神ストーリーを考察材料に加えて、再びこのゲームに登場する世界の分類・整理を行っていきましょう。
毎度の注意喚起ですが、ネタバレ以外の何物でもない記事なのであらかじめ動画サイトでストーリーを履修するなど自衛してくださいね。
アイノさんは廃園論法を詰めていくそうです
“廃園の巨神”の中で登場してきた、”咒歌(スパルタX命名)”を使っての時空操作。これが物語上許されるならば、”神曲の巨神”を読んで導き出した世界観解釈、演劇部の彼女たちがそういう世界の物語も書いていたんだのさらに外側が想定できてしまう。これが前回の考察で気付いたことだった。
廃園論法をふまえたうえで、これまでの神曲論法を拡張する世界観モデルを試しに考えてみるとこんな感じになる。
ファンタジー世界に代表される世界の多くは”神曲の巨神”に登場する女子高生(達?)によって書かれた創作の世界である。
いっぽう彼女達の頭の中にその創作世界のアイディアを放り込んだのは”咒歌”を使った時空操作のできる誰かである(ここではあくまで作業仮説的にスパルタX君の仕業であるとしよう)。
その後何らかの強制力が働いて、”神曲の巨神”の現代世界にいた女子高生はフレストニアという自身が考えた創作の世界に飛ばされ、同じく自身が創作した様々な世界から飛んできたキャラクター達と合流する。これが丁度プレイヤーの見ているゲーム画面。
このモデルが説得力を持つためには、”廃園の巨神”の世界が他の凡百の世界と異なり女子高生によって創作された世界でない、リアル側の世界である必要がある。プレイヤーの見ているゲーム画面を因果関係の結果の方だとするならば、”神曲の巨神”の世界と”廃園の巨神”の世界はどちらも原因の側に置かれてなければならない。
さいわいにして、”神曲の巨神”の中に出てくる他世界のにおわせの中に”廃園の巨神”を想起させるような文言は出てこない。
…無理矢理こじつけるならば主人公の独白の中の「未来の話をやりたい」という部分がそうなのかもしれないけれども、他の特徴的要素であるMI、遺伝子操作の結果生まれた長命種やらのモチーフが出てこない。よって”廃園の巨神”の世界が”神曲の巨神”の世界に従属する創作物(=リアル側の世界でない)であると推定されることをまぬがれている。
そんな事より聞いてくださいアイノさん。
昨日、近所の吉野家行ったんです。吉野家。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。
…………………
…………………
…………………は?
なんか親子連れとかもいるし。一家4人で吉野家か。おめでてーな。
よーしパパ特盛頼んじゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
(中略)
吉野家通の俺から言わせてもらえば今、吉野家通の間での最新流行はやっぱり、親子丼、これだね。
で、それに大盛りギョク(卵)。これ最強。
しかしこれを頼むと卵を先に食べるか鶏を先に食べるか悩んでしまうという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、炎×氷CP(リバ可)でも楽しんでなさいってこった。
あのさ。
人が真剣に話をしているときに全く関係ないコピペ改変で割り込んでくるのって………
つまり、重要なことは各世界観同士の従属関係をはっきりさせることですね。
卵が先か鶏が先か。
その辺りに着目しつつ以前作った世界観分類を拡充していきましょう…!
心底イラっとする鳥だ…!!!
前回の分類と”教導の巨神”以降ストーリーの性質について
(気を取り直して)
世界観分類、前回表を作った際はまだ”神曲の巨神”を読む前だったのだよね。
神曲と廃園の置き場所には悩むので、表中では仮配置にしておこう。
分類名 | その世界に属する巨神 | 特徴的要素 |
---|---|---|
ファンタジー世界 | 騎士・人狼・真龍・魔術・旋塔・流火・咒歌・無限・棺鯨・眼鏡・心眼 | 創世神ユミル&ノイア、真龍、咒歌 |
サイバーパンク世界 | 疾駆・偶像・廃園? | 阿片夢、サイボーグ、軌道エレベーター |
ヒーロー世界 | 白虹・冒涜 | 自由の女神があるメガロポリス、スーパーヒーロー、パワードスーツ、Xクリスタル |
現代日本世界 | 奇妙・神曲? | コンビニバイトや歩道橋など現代日本的な要素 |
サムライ世界 | 自翔 | 遊郭、刀、サムライ |
全ての分類の上位メタ。現実世界 | 神曲?・廃園? | 他世界への言及、干渉できる能力など |
これから読み進めていく”教導の巨神”以降の巨神はイベント巨神として初出したのちに恒常ステージとして実装されていってる最中のもの。
イベント自体をクリアしていればストーリーはいつでもヒストリーブックで閲覧できる。
このゲームのイベントは大体いつも下のスクショみたいな感じ。
大喜利機能は他のユーザが作成した大喜利にヒマな戦闘中評価を入れられたりとなかなか遊び心溢れるアイディアでしたが、戦闘中の操作の邪魔になって勝手に評価ボタンが押されるなど散々な実装でした。評価を貰ってランキング上位になっても特にそれに運営が反応することもなかったうえ、イベント開始直後に投稿された大喜利の出現回数が多くなり構造的に評価上位に来てしまう問題に対する対処もなくつまらない大喜利が上位になりがちだったので、末期には大体のユーザに無視されていた要素だと思います。そんなのばっかり。
アイノ様が現在いるのは2020年の年末、という設定にさせていただきまして、12月29日に実装された”賀正の巨神”までのイベントストーリーを拾ってまいりましょう。
イベント巨神を振り返りつつ表に放り込む準備だよ
最初のイベント”教導の巨神”
教導の巨神。ひょんなことから聖堂騎士アダムに拾われることとなった少女ローラが聖剣オーロラを持つ聖堂騎士ローラへと成長する話だね。帝国魔術師ギルドがハイランド女王国へのテロを行おうとしているから、舞台はファンタジー世界。オーロラは秩序の女神ノイアによって磨かれた聖剣で創生の巨人に由来する魔力を消失させることができる。
ここでユミルに属する側のアイテムとしてユミルの歯が出てくる(再登場)。イセリアという街でこの歯が起動して巨人が現れる。さらにその巨人を食い破って暗黒の龍が現れ天に昇る。
ヨヨさんはローラと生き別れた妹分だったけれども、彼女がまとっていた”にゅるにゅる”というのは混沌のことだったのだね。
帝国の全権大使がハイランド女王国で殺されて開戦、女王の騎士はまず混沌を滅ぼすべきと主張して追放される、という出来事の言及があるから、時代的には”旋塔の巨神”やミンストレルが登場する”咒歌の巨神”と同じだと思われる。
ファンタジー世界を舞台とした話は沢山あるからいい加減年表を作って纏めないといけないかもしれない。
2番目のイベント”誓花の巨神”
誓花の巨神の舞台はおそらく現代日本世界。
尾頭俊太郎という眼鏡の男性が出てくる。”世にも奇妙な巨神”との関係はあるのかな?
話はミステリー風味なんだけれども、謎が解決しないモヤモヤが残る。多分この話単体では解決しないんだろうなあ。
このイベントストーリーをリアルタイムで読んでいた時に思ったのは、登場人物の名前が”瑛(えい)”、”詩衣子(しいこ)”とアルファベットをもじったような投げやりな命名で、いよいよ即興劇かなんかの台本っぽく見えてきたなって。
分類”現代日本世界”に放り込んだこの巨神のストーリーが創作だとすると、同じ世界に放り込んだアイノ様が登場する”神曲の巨神”も創作ということになってしまうのでは?
だから仮配置にしてるんでしょ。
“現代日本世界”と”創作現代日本世界”みたいに分けないといけないかな?
“彷徨の巨神”
主人公の名前はゴゴ。挿絵を見ると原始部族みたいな格好をしているからファンタジー世界の”真龍の巨神”あたりの時代になるのかな?真龍の概念も出てくる。
肉を食べられても復活する不死身の鳥ドド。ゴゴも死ぬことができないという特性を持っているのだけれども、真龍と出会い自分も真龍なのか?と訊くと明確に否定されてしまう。かつて存在した不老の存在とも違う。”生キテイナイ”存在というまた新たな概念。
ゴゴと同様の存在であると思われたドドは結局死に方を見つけて死ぬことができた。ひたすら与え続ける(=自己犠牲?)ことがその方法だった。ただ、ゴゴも同じ方法で死ねるとの断定が物語的にあったわけではない。
巨神と誓女の物語を読んでいて厄介なのは、物語の中のカタルシス = 真実では必ずしもないところというか。主人公がストーリー二転三転のあとのクライマックスで、「AはつまりBということだったんだ!!!」と悟ったとしても読者は「A = B」の確証を得たわけではないのだよね。
それはちょっと、ひねくれすぎなのでは?
“全てを疑え”ですから。
こういうオムニバス形式のストーリーを建て増し建て増し追加していくタイプの作品は謎の解決に向けて直線的に進んでいってしまうとすぐネタ切れを起こしてしまう。だからミスリードを散りばめることが重要。コナン君然り。
“蠱惑の巨神”
魔法王国の浮遊都市が舞台。世界は言わずもがなファンタジー世界だね。時代はまだノイアと人間がいちゃいちゃしていた頃だからかなり最初。魔術師ザッドが精神感応に応じて形を変える魔法生物を作っていたら、かつての恋人アルシノエの形になり魂を持ってしまったという話。
その魔術の応用でフラテルという魔法生物が一般化され大量に広まったが、彼らが魂を持ち反乱を起こす。どう見てもSFです。本当にありがとうございました。
余談だけれども、精神に感応して昔の恋人が蘇る物悲しい話ということでスタニスワフ・レムの『ソラリス』なんかを思い浮かべながらストーリーを読んでいたよ。このイベントの頃には巨神と誓女がSF作品だと思って読んでいたからね。
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作品名は『ソラリスの陽のもとに』ではないのですか?
1965年にハヤカワ文庫から出た翻訳ではそのタイトルだったけれども、2004年に出たスタニスワフ・レム コレクションの翻訳は原題”Solaris”に忠実な『ソラリス』になっているね。このシリーズの本の装丁が好きでした。まあ読むだけなら文庫版や電子書籍でいいと思う。
“宇宙の巨神”
SFの話をしていたら次は”宇宙の巨神”。舞台は宇宙ステーションに。
世界観の分類でいうとサイバーパンク世界に近いけれども、共通点は宇宙しかない。
もしかしたら時系列的に人類が滅亡の危機に瀕したすごい未来の話なのかもしれない。これは新分類を作っておいた方が良さそう。
ストーリー的には宇宙ステーション内での人類とAIの騙し合いで、『2001年宇宙の旅』でも『LIVE A LIVE SF編』でも好きなものを連想して。
ラストの挿絵を見ると困惑する。人類…?
“栄冠の巨神”
徹頭徹尾パロディ&ギャグテイストの巨神だね。
阿片夢が出てくるのでサイバーパンク世界。監獄アズラスィ。阿片夢には地獄の住人デーモンが蔓延っていることがわかる。地獄大公によって地獄に連れていかれるという概念が出てくるから、地獄は阿片夢のある世界と行き来可能な場所だと思われる。
エンディング一枚絵が謎の入れ子構造になっている。若いグレッグは王冠を被っていないのだけれども、この王冠も何か意味のあるガジェットだったりするのだろうか。”疾駆の巨神”のソニックレッグみたいな。
“不滅の巨神”
真龍が大暴れしていた時代。ファンタジー世界の、方舟の中に逃げ込んだ王族にノイアがプッツンして髪の毛から真龍を作った直後くらいのタイミングだろうか(”魔術の巨神”で言及されたエピソード)。
やがて物語中で時間が進み真龍が姿を見せなくなる。竜語りのノンは助けてくれた真龍のタマゴを産む…
親子丼大盛りギョク(卵)ですね!!
まさかの伏線!?読者から賞賛の嵐!!
一生黙ってて。
(…ハイ)
卵から孵った子ホロスがなんやかんやあってガイセリック王となり、大陸全土を統一する。
その後何百年も生きるが最後はハイランド女王のレガシーアームズ『聖断リベルウス』に心臓を貫かれ封印される。
結構この巨神ストーリーの中で時間経過があるみたいだね。ファンタジー世界史みたいになっている。
旧王都イセリアの地下で封印されていたガイセリック王(=真龍)だが、ユミルの歯と結びつくことにより混沌の龍ウロボロスとして復活する。
ああこれで”教導の巨神”の物語の中で実際に何が起こったのかわかるのか。
また時代が降って、氷に包まれた世界。機械人形(オートマタ)のピノちゃん視点でストーリーが進む。ピノちゃんはハイランド帝国の皇女ベアトリスのオトモダチになるべく作られるが、完成した時分には必要とされなくなっており方舟の傍で暮らす。
やがてベアトリスの娘エイレーン皇女とブラッドがウロボロスの心臓を持って方舟にやってくる。春を取り戻すため(”無限の巨神”で見たエピソード)。方舟の中枢部に行った2人は戻ってこなかった。春は戻る。
蘇ったウロボロスは方舟を住処とした。ピノちゃんは方舟の中で白織の聖女と出会う。「私の願いはアスタルさんにあげます。アスタルさん、自分の願いを自由にかなえてください」
ウロボロスは世界に散らばるユミルの欠片の全てを喰って戻ってくる。アスタル(=ノイアを内に宿すもの)を食べればユミルとノイアが出会い世界の再創造が行われる。アスタルは「お 断 り し ま す」で、騎士と魔女が現れウロボロスを倒す。ユミルの骸を吐き出したウロボロスは中年男の姿になる。
時間がゆっくり流れるようになる。この世界が終わろうとしていたが、騎士たちは諦めなかった。空へと上がっていく三筋の光(赤青緑)。時計を見ると6時17分だった…
このイベントストーリー読み終わった後、ああそういうことだったのか感がとても強かったの覚えている。光の三原色がいなくなってしまうとそりゃあ世界は白黒になるよなぁと。
6時17分、617、617災害。自由の女神像がフランスからニューヨークに届いた日。
ファンタジー世界の歴史は結局ここで終わってしまうのか、それとも外に出て行った彼らが帰ってきて再び歴史が紡がれ始めることはあるのか。
…まあとりあえず今のところは彼らが脱出する経緯が詳しく描かれたストーリーもないのでまだまだ判明は先になりそうだね。
結局、詳しく描かれることなくサービス終了してしまいましたけれどね。
ほんとそこに尽きる。
“あなたの知らない巨神”
現代日本世界っぽい雰囲気の物語。主人公(相原尚人)はゴシップメディアの記者。聴くと死んでしまう呪いの歌の謎を追う。『リング』とかのオマージュっぽいところがあるかな?
呪いの性質は、
①歌を聴いたものは3日以内に他の人に聴かせないと死んでしまう。
②3日の猶予期間内に呪いの対象となった人物が死んでしまった場合、行き場を失った呪いはその人物に歌を聴かせた人物へと向かう。
③自分が呪いの対象となっていることは、頭の中に歌が鳴り続けるのでわかる。
(この呪いの歌、”咒歌”とは関係あるのかな?世界が違うから関係ない?)
「鬼が来やるぞ 鬼が来る 来る……」という歌詞。念の為歌わないようにお願いします。
(あとであの鳥に聴かせてみよう)
最終的に主人公は呪いの対象となり、渋谷のスクランブル交差点で…という内容なのだけれども、登場人物の苗字が”相原”、”上野”、”岡本”、”城倉”、”間宮”とまた投げやり命名法(”あい”、”うえ”、”おか”、”きく”、”まみ”)なのが気になる。
あとこの話にも尾頭俊太郎が登場してくるね。現代日本世界のレギュラーなのかな?
いっぽう”神曲の巨神”のストーリーには尾頭俊太郎が登場してこない。まあただ単に舞台が違うから(東京と琵琶海の側)、時代が微妙に違うからとか理由は色々考えられるけれども。
“王蛇の巨神”
ディオドトスとアレクの親子が登場して、壁に描かれた巨大な紋章の前でディオドトスが一族の昔話を始める。
一族は世界の東側で生まれた竜使い(ドラグーン)。気候が穏やかな西側は狩猟生活から農耕生活へと脱皮していったが東側はそのまま。部族間の争いで竜を奪われ追いやられ雪山で遭難。そこでフードをかぶって首に無数の蛇を下げた老人に出会う。一族の長ザッハークは復讐のための力、魔法を得るために契約。
今更だけど舞台はファンタジー世界だね。
ザッハークは魔法の力で強大な国を作るが息子のヴァルマンに殺される。ここにヴァルマン魔法帝国が成るが、ヴァルマンは急速に老いていく自身の体に怯えていた。手立てを求めて雪山の山頂にある遺跡を調べさせる。遺跡の内部からは何かが響いており、ある研究者はそれを聴いてカエルになって出ていった(”咒歌の巨神”のカエルかな?)。
ヴァルマンの寝所に現れるフードの魔法使い。「あまり『方舟』を騒がしくせんでもらいたいものだな。咒歌が欲しければくれてやろう。ただし対価が必要だ。お前の一族が対価を払い続ける限り力を授けよう」
ディオドトスを討とうとするアレクは潜んでいたヘレーナの手により返り討ちとなる。アレクの魂は紋章に吸い込まれていく。
最初で最後のクリスマスイベント”聖夜の巨神”
このゲームの運営、ちゃんとクリスマス商戦に何か用意できているの?そもそもクリスマスって知ってる?ていうか、生きてる…?
というユーザの不安をかき消してくれたクリスマスイベント。
ガチャキャラのラインナップも初の既存キャラ別バで、冬のボーナスが入ったユーザの懐に大ダメージ。
巨神の見た目は”咒歌の巨神”のカエルにサンタ衣装を着せただけという力の抜け具合。
いやほんと、ブラウザゲーなんてこのくらいで丁度いいんですよ…
ストーリーは”咒歌の巨神”のミンストレルを中心として同時代のファンタジー世界の登場人物たち(”教導の巨神”組、クッキー、ミト)が登場するドタバタ喜劇。
ある意味このゲームの転換点のようなものを感じたよ。こういうイベントを多くしてキャラの解像度をもっと上げてほしい。ひいてはそれが別バの売り上げ増にも繋がる…
メインストーリーに影響を与えない範囲のキャラ紹介&販促として、Twitterで毎週更新の四コマでも連載すればいいのにー、とずっと思っていました。
この巨神ストーリーによってもたらされる情報はそれほど多くないけれども、話の中に登場した”クチバシ”のような聖遺物を所有するとチートレベルの魔法が使えてしまう(そしてローラの持つ聖剣オーロラはその魔法を無効化する。ユミル↔︎ノイアの構図)ということは確か。”クチバシ”を回収した聖堂騎士がその後魔法を用いることはあったのか、また聖遺物として”ユミルの歯”のように使用されることがあったのかなどふざけた話のように見えて重要な伏線が仕込まれていそうで油断できない。
最初で最後の正月イベント”賀正の巨神”
正月イベント。巨神の見た目は”世にも奇妙な巨神”のバイトをコタツに突っ込んでみました、みたいな力の抜け具合。
いやほんと、ブラウザゲーなんてこのくらいで丁度いいんですよ…
ストーリー的にも、黒い妖精のせいで何度も人生を繰り返す主人公ということで”世にも奇妙な巨神”と地続きになっているはず。
世界観は”現代日本世界”だね。主人公は”シュンタロー”と呼ばれる。尾頭俊太郎?
行きつけのスナックのママを何故かやっているハイランド女王国出身の妖精女王ティターニア。情報を鵜呑みにするのならば、”現代日本世界”に”ファンタジー世界”の人物の流入があったことになる。
黒い妖精には素性を認識されており、「妖精同士、何でも言ってごらんなさい」と語りかける。
ストーリー中でシュンタローが見る夢は彼が実際にやり直した人生の記憶だろうか。宇宙飛行士になり6月17日に緑の光が地球を貫くことで発生する災害を止めようと試みた記憶。渋谷のスクランブル交差点で何かがばら撒かれようとするのを止めようと走る記憶(結局止められずに多くの人が死ぬ)。
シュンタローの夢を通じて”誓花の巨神”と”世にも奇妙な巨神”&”賀正の巨神”の同時代、同世界性は補強されるのだけれども、仮配置にしていた”神曲の巨神”との関係はどうだろうか?
“6.17の災害”というキーワードで結びつけるのならば、”神曲の巨神”の世界に加えて別分類”ヒーロー世界”に突っ込んでいた2つの巨神ストーリーも同世界での出来事だということになる。
ただ…
★部長
身分違いの恋!燃えるでしょ浮浪児と皇女、運命の出会い。
★ヒメ
時代は都市伝説でデスゲームだって。ヤバいヤツが集まってくる。頭が鳥とか。
★アイノ
頭が鳥籠なのは?絶対ヤバいよ
★ヨシカワ
禁断の愛はどうすか、こう、おっさん同士で……。
★部長
誰が、おっさん役をやるんだよ!
★ヨシカワ
じゃあヒーローっすよ!NYから来た全身タイツが鳥籠男と戦う。
都市伝説でのデスゲーム = ”あなたの知らない巨神”
ヒーロー = ”冒涜の巨神”etc
と”神曲の巨神”でのメタ言及があるのだよね。”6.17の災害”という共通項によってこれらの世界を地続きにしてしまうと女子高生の創作物であると切り離せなくなる…
巨神ストーリーの多くは女子高生の創作物であるという仮定がそもそも間違っているのではないでしょうか?
勿論その可能性も…って、一生黙ってろって言ったはず!!
あとわざわざ吹き出しスタイルを考え事で指定しているのだから、気軽に心を読んでこないで。
そりゃあ若干自説に自信がなくなってきたところは若干否めないけれども…
上で引用した演劇部員の会話も特に意味の無いイースターエッグだった可能性もある。
イースターエッグ…イースターエッグ……
つまり親子丼大盛りギョク(卵)!!
まさかの伏
口に出したら●すから。
ハ…ハイ!
いま、心を読まれました…??
とりあえずここまで、表に放り込む
大分類 | 大分類の特徴的要素 | 小分類名 | その世界に属する巨神 | 特徴的要素 |
---|---|---|---|---|
① | 人格神としてのユミル、レガシー(レガシーアームズ) | ファンタジー世界 | 騎士・人狼・真龍・魔術・旋塔・流火・咒歌・無限・眼鏡・心眼・教導・彷徨・蠱惑・不滅・王蛇・名画・驍光・魔龍・聖夜 | 創世神ユミル&ノイア、真龍、咒歌 |
棺鯨 | 棺鯨 | クジラ、鐘 | ||
② | 阿片夢、デーモン | サイバーパンク世界 | 疾駆・偶像・廃園・栄冠・高潔・消失 | サイボーグ、軌道エレベーター、ヤクザ(フヂン組)、メトセラ、監獄アズラスィ |
サムライ世界 | 自翔・麻呂 | 遊郭、刀、サムライ | ||
③ | 6.17災害、メガロポリス、ウォーテック社 | 現代日本世界(尾頭俊太郎) | 奇妙・誓花・あなたの知らない・忠犬・賀正 | コンビニバイトや歩道橋など現代日本的な要素 |
現代日本世界(女子高生) | 神曲 | 琵琶海の傍にある女子校の演劇部 | ||
ヒーロー世界 | 白虹・冒涜・無貌 | スーパーヒーロー、パワードスーツ、Xクリスタル | ||
その他(未定) | 現状置き所が決定しないもの | 宇宙 | 宇宙 | 宇宙ステーション、赤茶けた砂漠の地表、クラゲ型宇宙人 |
備考1:物語の始点たりうるメタ | もしも①②③が創作だったとしたら?という仮説でメタになりそうなもの | 神曲・廃園 | 他世界への言及、干渉できる能力など | |
備考2:ユーザが見ているゲームシステムを説明し得るメタ | ゲーム『巨神と誓女』 | 流火・棺鯨 | キンダーガーデンに召喚される誓女、ガチャ画面 |
“神曲の巨神”や”廃園の巨神”を起点として他の全ての物語を説明しようとする試みはひとまずペンディングにしておいて、世界観分類の表をアップデートしてみた。
以前の分類ではファンタジー世界に雑に突っ込んでいた”棺鯨の巨神”だけれども、よくよく考えるとファンタジー世界に放り込む根拠というのは黒い妖精が出てきて”ユミル”の名前を出すことと”レガシー”と呼ばれる槍が出てくることくらいしか無い。繋がりは希薄に思えるので単一小分類として外に出してみた。
このストーリーではさらに他のファンタジー世界にはない、宇宙から地球らしき天体を見下ろす描写があってちょっと異質。
単一小分類にするかどうか悩ましいのは”廃園の巨神”で、現状はサイバーパンク世界の中に放り込んでいるけれども、共通する要素は軌道エレベーターと”メトセラ”と呼ばれる長命種の存在のみ。せめて軌道エレベーターがジャパラシアに建設された等の情報が他の話で出てくれば自信を持って同じ分類に放り込めたのだけれどもね。
“その他”の分類に入れた”宇宙の巨神”も他の巨神ストーリーと特徴的要素が被らない。一応宇宙開発やAIといった部分ではサイバーパンク世界の近縁と言えるかもしれないし、”棺鯨の巨神”に天体描写がある事を考えるとファンタジー世界に繋がるのかもしれない。
“尾頭俊太郎”と”ウロボロス”備考俊太郎
現代日本世界の複数の巨神ストーリーに登場するいかにも怪しい”尾頭俊太郎”についても情報を纏めておきたい。
この男は”世にも奇妙な巨神”で初出の、人生を何度もやり直している男であろうと思われる。
“賀正の巨神”ストーリーによると死ぬたびに記憶を持ったまま新たな人生へと送り込まれることを本人も認識しており、さらに過去の人生の記憶をたよりに大災害を防ごうとしたり人助けをしたりと正義感・使命感を持って生きていることがわかる。
そして、尾頭俊太郎を連想させるキャラがファンタジー世界にいる。それが”ウロボロス”であり、一般的にウロボロスといって想起される自身の尾を呑み込む見た目と、”尾頭”という苗字との間で関連性を窺わせる。
ウロボロスは女神ノイアによって人類を滅ぼすために造られた真龍(”魔術の巨神”)の最後の生き残りが、ユミルの亡骸を取り込んで混沌の龍となったもの(”無限の巨神”)で、アスタルに召喚された炎×氷CPに倒され龍としての体を失うと裸の中年男の姿になる(”不滅の巨神”)。
その中年男が大分類③の世界に三原色を追うように飛び立ち、尾頭俊太郎になったのでしょうか。
“尾頭俊太郎”が”ウロボロス”である根拠は名前となんだか問題を抱えた中年である事位しかないけれども、説の一つとしては十分考えられるか。
(また世界観同士の因果関係の立証が難しくなるなぁ)
“廃園の巨神”のスパルタXが過去にアクセスできることにより因果関係のループが生じてしまっている世界を打破しようとやってきたキャラクターが”尾頭俊太郎”=”ウロボロス”という説を思い付いたのだけれども、そういう設定の作品もよくあるよね、といったメタ読み以外の何物でも無いからなあ。
あとこれは本当に”ウロボロス”の備考程度の話なんだけれども、”彷徨の巨神”で真龍と出会い”生キテイナイ”存在と言われてしまったゴゴも”ウロボロス”っぽく見える…
卵が先か鶏が先かと問われるならば
今回の考察の主眼は”卵が先か鶏が先か”を見極める事だったのだけれども、巨神ストーリーの多くが女子高生の創作を起点としている、ないし”廃園の巨神”のスパルタXを起点としている、というような単純な従属関係を見出すのが難しく、むしろ6.17災害の緑の光のようなファンタジー世界から現代日本世界への流入経緯もくっきりと見えてしまい困惑している。
そこで、卵と鶏の関係のようにお互いがお互いの起点となりループしているところに”尾頭俊太郎”というループ外の異物が混入した、それがゲームをプレイするプレイヤー自身の立場である?という説にもならない印象程度の気付きを得たという。
簡単な事です。世界観を説明するための伏線は、既に明示されておりますから。
それはすごい。
よかったら、きかせてもらえないだろうか?
(模型銃に弾を装填しつつ)
吉野家の牛丼コピペは、令和の世を迎えるにあたってアップデートされたのです。
これからの時代はファンタジー世界から逃げ出した光の三原色にちなんだ、三色のチーズ牛丼!!!!
あっ! 痛っ!! やめて! 撃たないで
(窓の外へと飛び去る)
…はぁ。
(あの鳥、本当に思いつきだけで生きてるな?)
まあ世界観の謎が今現在判明しなくても、これからどんどん考察材料が投下されていくことだろう。
なにしろこのゲームはまだ一周年すら迎えていないゲームなのだから。来年も良い年になるといいな。
というわけで、連載の次回では年が明けて2021年になってから追加されたストーリーと、これまで触れてこなかった曜日限定巨神のストーリーを材料に考察を深めていきましょう。
そして巨神と誓女運営からの衝撃的な発表に接したアイノさんが一体どうなってしまうのか。次回を期待…!!
(某作がリリースされる前には連載終了できるよう努力してみるかも)
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