昨年の今頃、私的POG’24として期待すべき2歳馬を沢山挙げる記事を書いていた。そしてそこで挙げた馬が1年経ってみて本当に活躍できたか総括する記事を書く段になったわけだが、長くなりそうだから前後編にした。そして前回の記事では種牡馬限定POGの方に絞って結果発表をした。

今回は後編、JRA-VANがPOGシーズンになると公開する動画から馬体・歩様で選出した馬についての結果発表となる。ちなみに元記事はこれ。

当時の期待度Tier1~4に分けて結果発表
通常のPOGであれば各人が馬を最大でも10頭くらいまでの頭数に絞り込みそれだけを発表するわけだが、昨年の記事では動画で気になった馬について書いたメモほぼそのままを公開して最後に10頭へと絞り込んだので、その過程で実に50頭もの馬の名前を挙げていた。この50頭は当時の自分の期待度によって4つのTierへと分けられる。
- Tier1
- 最終的な10頭に選ばれた馬(10頭)
- Tier2
- 10頭の補欠として考えていた馬(4頭)
- Tier3
- 10+4頭には入らなかったが血統表を貼って解説した馬(10頭)
- Tier4
- メモとして名前を控えていた馬(26頭)
当時自分がつけていた序列がそのとおりに成績に反映されているか確かめるのも面白そうなので、このTierをベースに結果発表を行なっていこう。なお成績については5月末現在のもので、特に断りがない場合中央競馬の所属であるとする。勝ち上がり馬の名前は太字で書く。
Tier1に選んだ10頭がどうなったか
Tier1に選んだ10頭(いわゆるPOGの選出馬10頭)の成績を羅列するとこんな感じである。
- アロンズロッド
- 4戦1勝 1030万円
- ヴェーヌドール
- 7戦1勝 1020万円
- トロピカルレイン
- 3戦0勝 0万円
- ソコトラ
- 1戦0勝 0万円
- シホリーン
- 4戦1勝 1565万円
- エンジェルマーク
- 4戦1勝 992万円
- エリキング
- 4戦3勝 京都2歳ステークス(G2) 5662万円
- ブラックセイバー
- 4戦0勝 84万円
- ジョワイユノエル
- 3戦0勝 280万円
こうして見るとエリキングだけが唯一2勝以上している馬であり、自信満々に選出した10選としては結果が寂しい。
まあエリキングはダービーに出走する馬なので、POGにおけるゴールであるダービーを年間成績に全く影響無いレースとして眺めざるを得ない状況に陥るのは回避できた。昨年の記事で”G1に出ても好走まで感“とか無礼な評価を下していた気もするがいっそ勝ってしまえ、と思う。
Tier2の4頭がどうなったか
Tier1の10頭に対する補欠として選んだ4頭についても同様に結果を羅列していく。
- サマースピリット
- 3戦0勝 290万円
- デルタフォー
- 未出走
- タヴァネスタン
- 2戦0勝 0万円
- メイショウハリソン
- 4戦0勝 140万円
こちらは4頭合わせて0勝であり、補欠止まりにしておいて正解だった感がある。牧場縛りや種牡馬縛りなどのレギュレーションに対応できるよう社台グループ以外の牧場のマイナー種牡馬産駒を取り上げたことも関係あるかもしれない。
まあダービーの時期を目標に馬を作っていないというケースもあるだろうしPOG期間が終わっても活躍を追っていきたいのではあるが、昨年の選出基準は全体的にPOGのレギュレーションに合致していなかったとみた方が良さそうだ。
Tier3の10頭がどうなったか
それでは、血統表貼って解説するくらいには評価していたけれどもPOGの選出馬10頭+4頭には劣るとして選ばなかった10頭の成績がどうだったか、そちらも見ていこう。
- ソルデマジョ
- 1戦0勝 0万円
- ダノンシーマ
- 4戦2勝 2305万円
- ジーティーハート
- 3戦0勝 0万円
- トリポリタニア
- 6戦2勝 2568万円
- スターウェーブ
- 4戦1勝 840万円
- マスカレードボール
- 5戦3勝 共同通信杯(G3) 1億1971万円
- スピリットサージ
- 3戦0勝 235万円
- ホウオウブライツ
- 3戦0勝 0万円
- リュミナーズ
- 4戦1勝 630万円
- ミストレス
- 7戦1勝 1931/240(地方)万円
こちらは勝ち頭がG3共同通信杯を勝ったマスカレードボールで、エリキングと同じくダービーの結果次第でもう少し賞金が積み上がる可能性があるが、現状で1億円超えの賞金は名前を挙げた馬の中でも断トツである。マスカレードボールについての馬体評には”個人的に好きなタイプの馬体から外れる”、”馬体の前後で別の馬に感じてしまう”などと書いてあり筋肉や歩様は問題なかったものの形が気に食わず選外にした形跡がある。今年はこういう形の馬体も許容して拾えるようにしてみたい。
その他2勝馬でダノンシーマやトリポリタニアを拾えている。総合的にみてこちらの10頭を選出していた方が成績が良かった。
Tier4の26頭の中に当たりはいたのか
Tier4は動画を見てメモだけはしていたけれどもそれぞれちょっと注文がつくと感じていた馬。26頭並べるのはそこそこ骨なので勝ち上がった馬だけを抜粋しよう。
- バニーラビット
- 6戦1勝 720万円
- インヴォーグ
- 3戦1勝 810万円
- リンクスティップ
- 5戦1勝 7861万円
- イマージョン
- 5戦1勝 970万円
- レッドシュテルン
- 4戦1勝 905万円
- アスクシュタイン
- 6戦2勝 2954万円
- グランドプラージュ
- 2戦2勝 1520万円
- ヴェナートル
- 7戦2勝 875/300(地方)万円
- ダノンヴェステル
- 4戦1勝 1300万円
26頭中の9頭が勝ち上がっている。めぼしいところだとG3きさらぎ賞で2着の後桜花賞、オークスと走ったリンクスティップ(オークス後骨折が判明したが)については選外としつつも”おおっとなるような筋肉ではないがバランス型”と書いている。2勝馬のアスクシュタイン、グランドプラージュ、ダノンヴェステルについて”バランスが良い”と全く同様の評価をしているのも気になった。2歳時点でバランスの良さがあれば筋肉の物足りなさは後々補われるということなのかもしれない(気になって調べてみたのだが件のPOG記事で”バランス”という単語を出して褒めていた馬9頭のうち7頭が勝ち上がっている)。
疑問:そもそも母集団であるJRA-VAN動画に大当たりはいたのか
こうして昨年名前を挙げた馬の結果を見ていくと走る馬を見極められているとも言えるしそうでないとも言える。G1馬を選出できていないところは気にかかるが、そうなると興味が湧くのがそもそも大元のJRA-VAN動画の中で馬体・歩様を見せてくれた馬の中で大当たりはいたのだろうか?いたとしたらどの馬を(馬体を見たにもかかわらず)見極められていなかったのか??ということである。
そこでnetkeibaの生産年別賞金ランキング(1ページに20頭掲載)を使って件の動画の母名リストと付き合わせてみたのだが、1ページ目(大体賞金7500万円以上)に載っていた馬はマスカレードボール、リンクスティップのみで、2ページ目(大体賞金5000万円以上)に載っていた馬はエリキングだけであった。
つまりそもそも母集団に大当たりが入っていない。そして中当たりの馬についてはちゃんと何かしらの形で拾えていたという事が分かった。
この馬体・歩様を見る私POGは相馬眼を鍛えるためにやっているところがあるが、50頭の名前を挙げたのにG1馬を見出す事ができなかった…と落ち込む必要は全く無さそうで安心した次第である。
番外編:セレクションセール2023の歩様動画でメモしていた馬の結果
相馬眼といえば、馬体・歩様私POG記事の最後で番外編としてセレクションセールの歩様動画を見て良さそうだとピックアップしていた馬2頭についても結果が出た。
- アーマードトラック
- 未出走 抹消済
- ヴァージル
- 7戦1勝 2164万円
ホッコータルマエ産駒で3410万円で落札されたアーマードトラックの方は未出走で抹消となってしまったが、ビッグアーサー産駒で一度主取りになった後1320万円で売れたヴァージルの方はデビュー戦を勝利し7走で3着以内5回とそこそこ走っている。
正直セールの歩様動画がそのままデビュー後の活躍度の指標となるとは思えないけれども、セール時点においてブラックタイプ以外にも判断の材料となるものはあるのだと少し自信が持てる結果となった。
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