POGシーズンの始まりに合わせて自身が指名するならこの2歳馬、という候補を挙げていくこの企画。昨年はJRA-VANがPOG用の動画をYoutubeにアップするのを待ってから指名馬の選定に入ったのだが、今年は待ちきれずにフライングで手をつけ始めようと思う。ちなみに昨年の当企画記事2本と結果報告の記事はこちら。
POG動画がアップされていない状態でも書ける内容ということで、種牡馬を限定した有望馬指名の方を先に行おうと思う。つまり実際の馬体等は見ずに血統表だけで走る馬かそうでないかを判断する。
まず扱う種牡馬は、昨年も取り上げた種牡馬であるレインボーラインだ。
レインボーライン産駒から有望馬を指名
レインボーラインは2019〜2022年シーズンまで4シーズンの間種牡馬として供用されていた。2022年生まれの産駒は全部で16頭登録されており、1つ下の2023年生まれラストクロップが8頭しかいないことを考えてもそろそろ決定打となる活躍馬を出して血を繋げたいところだ。現状としては中央の平地競走勝利数がゼロ、障害で僅かに1勝とあまり成功していない。
レインボーライン産駒の指名方針
昨年の当企画で指名馬を選定した際には次のような基準を用いていた。
- 母方にダンシングブレーヴを持つ馬
- 母方にSeattle Slewを持つ馬
その結果ある程度活躍する馬を指名できていたと思う。たとえば指名した内の1頭、川崎競馬で走っているサムライウォーリア(netkeiba紹介ページ)は11月のデビュー戦で勝利して、つい先日2戦目で再び勝ち星を挙げた。この馬は基準の1に該当する母方にダンシングブレーヴを持つ馬なのだが、それ以外にも血統表で語るべき点は多い。折角なので5代血統表を貼っておこう。
母方ダンシングブレーヴの部分なのだが、昨年基準を作る際に参考にした産駒で地方重賞馬のワイズゴールド(netkeiba紹介ページ)の母父キングヘイローとは異なりコマンダーインチーフを経由している。そしてコマンダーインチーフの母父がRobertoなのだが、これは産駒で同じく地方重賞馬のダイヤモンドライン(netkeiba紹介ページ)の中にも母母父として入っており、サンデー系の馬に不足しがちなダート向きのパワーを補っていると解釈することもできる。
母母カウントナカヤマの血統はダートで走りそうな要素を沢山持っている。カウントナカヤマにとって父父となるWoodman、母父となるマルゼンスキーなどだ。どうしてこれらの要素をダートでの好走要因と考えるかは別に一つ記事を書こうと思っているのだけれども、余程ダート適性の無い相手でない限り割と父馬を問わずにダートで走る馬を出してくれそうな雰囲気がある。
そしてサムライウォーリアにとって母母父母母、5代血統表の端っこに居るBuena Notteという牝馬だが、この馬の父がVictoria Parkであり、レインボーラインがその配合の中で強調しているノーザンテーストの母父にあたる。つまり母方でよりダート向きの要素を入れつつ、レインボーライン自身のキャラクターも否定しないバランス配合なのだ。必然こうやって脱線も長くなる(長くなった)。
以上の事などもふまえて今年の選定基準は微修正をする。
- 母方にダンシングブレーヴを持つ馬(ただしコマンダーインチーフ>キングヘイロー)
- 母方にSeattle Slewを持つ馬(A.P. Indyを経由しない)
2つ目の基準の修正箇所については血統と産駒傾向が似ているオルフェーヴルの回で修正理由を説明したいと思う。それでは16頭の中から有望馬を選定しよう。
サヨノフトゥーラ(ナムラモンローの2022)
母父はエンパイアメーカー。選定理由は基準2のSeattle Slewが居るため。母母母父父と少し距離が遠いのが気がかりだが、Seattle Slew以外にもBold Ruler系の血が2筋入っている。A.P.Indyは経由していない。
エンパイアメーカーの中のRough’n Tumble5×5、Aspidistra5×5や母母ナムラドロシーの中のCrimson Satan5×4などHimyar系のクロスが多い。ダート馬として跳ねる可能性を秘めているが、レインボーラインとの相性がどうなのかは未知数である。
母馬のデビュー済み産駒は430kgくらいなのでレインボーライン産駒にとって重要な体の大きさについてはあまり期待はできないかも。体格を補うスピードが乗りさえすれば。
モーモーレインボー(ダイナルシャトーの2022)
母父コマンダーインチーフなので基準1を満たす。母馬は1999年生まれで非常に高齢での出産。きょうだいの活躍馬は特におらず最高でも獲得賞金2000万円台だが、大体450kg以上には出ているのが一縷の望みと言えるだろうか。有望馬に挙げたけれどもダンシングブレーヴが入っている事以外の根拠は弱い。
モンサンオブライト(ホッコーメモリーの2022)
母父はヴィクトワールピサ。ダンシングブレーヴが母母父の位置に居て基準1を満たす。母馬のホッコーパフュームは2014天皇賞・春で3着になったホッコーブレーヴや障害重賞でよく名前を見かけたホッコーメヴィウスの半きょうだい。自身は16戦1勝で獲得賞金も中央地方合算125万円とあまり活躍した馬ではない。
こちらもきょうだいが大体450kg以上なのが一縷の望みか。
ステイクラッシー(クラッシーシャーロットの2022)
母父はA.P. Indy。いきなり基準2の”A.P. Indyを経由しない”という部分に違反しているが昨年の基準ならばクリアしているということで。母馬は1998年生まれとこれも高齢出産。産駒は500kg台に乗ることが多く、驚くべき事に父ディープインパクトや父オルフェーヴルでも500kg近くある馬を出している(そして父オルフェーヴルの産駒の成績を見て若干トーンダウンしてしまう)。
母馬の5代血統表内でBold Ruler5×4×5のクロスが生じているので大きな子供が出るのも納得である。
ケンシレインボー(グローリアスイリスの2022)
母父はメイショウサムソン。メイショウサムソンの母父がダンシングブレーヴということで基準1を満たす。ただメイショウサムソン自体がSadler’s Wells産駒でありその他本馬の母母母父にトニービンがいることを考えても芝に寄せる配合なのではないかと思う。レインボーライン産駒はダート馬しか走っていないため現状の傾向から見ると一抹の不安が残る。
きょうだいの体重は平均よりやや小ぶりくらい。
レインボーギフト(ベルテンポの2022)
こちらも母父はメイショウサムソン。メイショウサムソンの母父がダンシングブレーヴということで基準1を満たす。母母父がネオユニヴァースで母母母はキングカメハメハ母であるマンファス。キングカメハメハ自体はホッコータルマエやチュウワウィザードのようなダートを走る馬を出すけれども、どちらかというと父Kingmamboの恩恵であるように思うので、ラストタイクーン産駒であるマンファスが良い方向に影響するのかどうかは未知数である。
きょうだいは500kg近い馬が多いので懸念の馬体重については期待したいところ。
アオイウィンダム(アシドベリーの2022)
母父スウェプトオーヴァーボード。実は選定基準は何も満たしていないのだが、母馬側にダートや芝短距離で好走しそうな要素がそこそこ詰まっているのでワンチャン母馬側の能力だけで走らないか?と思っている。まずスウェプトオーヴァーボードはオメガパフュームの父であることと、母馬アシドベリーの血統構成父スウェプトオーヴァーボード、母父フジキセキ、母母母ベリアーニというのが中央芝短距離重賞3賞馬のパドトロワと全く同じなのである。パドトロワはさらにJBCスプリント覇者のダンシングプリンスを出しているため、芝ダートどちらかの短距離に活路があれば、というところ。きょうだいの体重は平均的。
エンジェライト(エンジェルインメイの2022)
母父ロージズインメイ。こちらも選定基準は何も満たしていない。母馬側のダート好走要素だけで走らないか?という淡い期待。母母母母父の位置にVice RegentがいるのでVice Regent5×5ができてレインボーライン側のキャラクターも否定しない。
この母馬にとっての初仔であるようだ。
以上、選定基準を満たす馬5頭と厳密には満たさない馬1頭、全く満たさない馬2頭を挙げた。
満たさない馬まで持ち出して挙げた理由は、2022年生まれのレインボーライン産駒の中で確固たる自信と根拠で推せる馬は最初のサヨノフトゥーラくらいであったためである。好走例が少ないためであるが難しい。
比較してみても2021年産サムライウォーリアの配合が良く見えてしまう。むしろ全世代の産駒を見て後継種牡馬になるならこの馬だと言えるくらいだ(レインボーライン自体フィリーサイアーで牡馬の活躍馬がいないこともあり)。サムライウォーリアには牝馬ではあるが2023年生まれの全妹がいるらしいので、気が早いけれどもそちらの活躍にも注目していたい。
↓オルフェーヴル編の記事もアップしたよ。
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