今回はサービス開始とともにお出しされた戦闘システムの振り返りと、それがどのように手入れされていったか回顧しましょう。アイノさんとともに。
ほぼ完全オートの戦闘、チェインが偉いシステム
事前登録期間にもtwitterで動画チラ見せされていた戦闘。
画面左側の巨大な巨神に自パーティーのキャラクター(誓女)が飛びかかったりして挑むという構図なのだけれども、私のボロッちいPCでちゃんと動くのか不安。
これは…
意外にちゃんと動いている!
ちょっとカクつくところもあるけれども、設定でカメラ視点移動等をオフにすれば動いてくれるね。
リングコマンド
戦闘では誓女達が巨神を勝手に殴ってHP減らしてくれるのだけれども、プレイヤーが介入出来る場面もあってその一つがこのリングコマンド。
リングコマンドは戦闘中ある程度のラグを挟んで、ランダムに選ばれた誓女のコマンドとして出てくる。
剣のアイコンが描いてある青丸はその誓女が所有するスキルを発動。黄色の丸は何もせず待機(”託す”)。それから今選択出来ないグレーになっている丸は”Ωリング”というシューティングゲームのボムみたいなもの。この3つをクリックで切り替え出来るんだね。
いま誓女の所持スキル一覧がリングの左に出ていて、見てお察しのとおり確率で発動する。
これらは同時に発動できて、たとえば左のスキル一覧の横の確率が全て100%だったら全てのスキルが一気に発動してくれる。
Ωリング
Ωリングは誓女達の組み合わせによって相手にダメージや状態異常を与えるものや味方を回復するものなど種類が変わる。発動までに連打すると若干威力が変わるらしい。
ちなみにこれは前回も見たパーティーの編成画面だけれども、
実はこのテーブルの真ん中に置かれているオブジェがΩリングの種類を表していたりする。
プレイヤーによる巨神ペチペチ(絶賛見捨てられ中)
プレイヤー介入要素もうひとつは、巨神の体の上にランダムで表示される赤い点。赤い点をクリックすると巨神に直接ダメージを与えられるのだけれども、正直雀の涙ほどのダメージにもならないというか…
表示時間も非常に短いのでうまくクリックするのも難しく、スクショすら撮影出来ていないという。各自の想像で補ってね。
チェイン
話は戻るけれども、リングコマンドでスキルが発動すると確率で別の(あるいはたまに自身とも)誓女にチェインが繋がる。チェイン数の加算とともに背景が割れていくような演出になって爽快感がある。
チェインが繋がると爽快感が得られるだけでなく、いわばターン制RPGにおける連続行動みたいに相手に行動させず攻撃・回復・補助などのコマンドを叩き込めるため非常に重要。なのでチェインし易いスキルやアビリティを誓女にセットして持たせたりするのが戦闘と編成のキモかな。
部位破壊
巨神には本体HPの他に独立したHPをもった部位が2箇所あって、誓女に部位を破壊するスキルを持たせているとそこを殴ってくれる。破壊する部位には上のスクショのように菱形のターゲットマークが付くね。
部位のHPがゼロになると破壊できて、メリットとしては破壊することでレアな素材ドロップが期待出来る。デメリットもちゃんとあって、部位を殴っている間は本体HPにダメージがいかないので、ギリギリ本体HPを削れるくらいの相手だと部位に攻撃を吸われて削りきれなくなったりするよ。
敗北による消費は実時間のみ。挑む巨神のレベルは選択可能
誓女達全員のHPがゼロになると敗北。
“Failure teaches success(失敗は成功のもと)”? うっせえわ
実際成功に繋げようのない敗北もあるしそういうときはイライラ案件な画面。
ただ敗北しても消費してしまうスタミナやお金等の概念が無いためノーリスクでまた挑戦することは可能。実時間は溶けていくけれどもね…
相手の巨神の攻撃は残りHPによっても変化して、半分を下回ると大抵エグい攻撃を連発してくるので、いつも勝てている編成で挑んでもチェインがうまく重ならず中途半端なHPが残ったりするとエグい攻撃の餌食になってあっさり敗北するケースもあったりする。
挑む巨神のレベルは1〜50までの間で選べるので、たとえばレベル50の巨神に敗北してしまったらレベルを30に下げて、とかの調節が出来る。ただ勿論より高いレベルの巨神に挑むことにメリットはあって、ドロップする素材の数が増え、よりレアなものになる。
素材を集めて神器とスキルを開放していくシステム
さっきからちょくちょく話に出てきている素材、これは誓女に持たせる武器(”神器”と呼ばれる)ならびにその神器が持つスキルを開放するのに必要なんだ。
神器には開放のためのツリー(スクショ右側の樹)があって、ツリーの下の方の神器を開放していないと上位の神器も開放出来ない。解放した神器にはさらにスキルツリー(スクショ左側)があり、便宜的にスキルツリーと呼んだけれどもステータスアップ等のアビリティも段階に含まれる。
誓女のステータスはほぼこの神器・スキルツリーによる上昇分で決まるので、戦闘経験値でレベルアップ、ステータス上昇していくシステムと異なりステータスアップのタイミングがより段階的というか。上位を解放するための素材が集まりきらない間は延々と下位神器のステータスのまま素材集めを続けることになるよ。
このゲームでやることの中心が何かと問われれば、戦闘についてはこの素材集め→神器・スキル開放だろうね。
そしてその行程を容易に突破されてしまわないよう、集めにくい素材がポイントポイントに配置されている。高レベル巨神が落とす素材や部位破壊の素材については既に触れたけれども、それ以外の集めにくい素材についても説明するよ。
集めにくい素材:Wandering Hazard
Wandering Hazard(略称WH)は通常巨神の毒々しい色違いで、体感10回に1回くらいの確率で周回に乱入してくる。強さも選択したレベルの巨神よりも15レベルくらい強く感じる。
勿論ドロップも通常とは異なった素材になっていて、中には”WHのレベル50で落ちる素材”とか”WHの部位破壊素材のうちレアな方”とかなかなか過酷な取得条件の素材が存在し、それを取得するためにツリー解放する必要があったりするとそこで足踏みする羽目になってしまう。
余談だけれどもこのWHとの戦闘時には音楽もボスっぽいものに変わるし画面の外枠もWH仕様になる。こういうところホント細かいね。
集めにくい素材:曜日限定巨神
巨神の中には特定の曜日にしか挑戦出来ない巨神が4種類いて、全ての曜日限定巨神が解放される日曜日を合わせてもそれぞれ週に3日×(1日当たりの討伐回数制限)2回 = 6回/週しか倒すチャンスが無い。
しかも素材の中には”曜日限定巨神のWHのレベル50で落ちる素材”とか”曜日限定巨神のWHの部位破壊素材のうちレアな方”とか過酷すぎる取得条件のものもある。もー。
集めにくい素材:庭園素材
前回つくしちゃんに釣りを命じていた庭園の一区画だけれども、配置してから4時間が経過するとアイテムを収穫してくれる。その中にはレア素材も含まれるため、ここで採れる素材が足りずに神器解放が足踏みしてしまうケースも考えられる。一応、課金アイテムのモーパーツを使えば即終了させることが可能なのだけれども、これはいわば確率がとてもとても低い素材ガチャ1連のために課金するようなものだから微妙。
集めにくい素材:プランター
素材を植えて一定時間待つことで別の素材を得られるプランターという仕組みもある。
複数の素材を植える場合、素材は4種類、それぞれ各100個まで投入出来る。
植える素材の数量やグレードに応じて収穫出来る素材のグレードも上がるのだけれども、要する時間も最高24時間まで増える(課金アイテムで短縮可)。
プランターでしか得られない素材が勿論ある。ここで足踏みしてしまうケースが以下略。
つまり基本的に神器・スキルの解放には実時間がかかる!
ここまでの総括。
神器やスキルを解放して誓女達を強くしていくには結構時間が要りそう。誓女が強くならないと巨神を倒して先の巨神を解放する事ができないのでゲームの速度感は本当、ブラウザゲームと思えないね。
強いレベルの巨神が倒せないということはすなわち倒せている人と素材収集効率にも差がついてしまうから、プレイヤー側の力量差も広がってくる。バランス調整する人はのちのち難易度の基準をどこに取るかで苦労しそうだ。
あと、最初にゲームがちゃんと動いてると言ったけれども、素材集めで何回も戦闘しているとちょくちょくout of memoryエラーが出てプログラム停止しちゃうんだよね…
これについては公式コミュニティとかでかなり口汚い言葉で報告がされているみたいだから、そのうち直ってくれると信じるよ。ホント、運営さんにはせいぜいゆるりとやってほしい。
お待ちかね、私ムニンがやってきましたよ!
茶番は如何ですか。私はコーヒー派ですが
どうも皆様、永らくお待たせを致しまして申し訳ございません。
…
サービス開始3ヶ月後の未来からやってきましたアイノです★
いやいや。
私3ヶ月後に鳥類に進化しているとか絶対嫌だから…!
…で、今回は何しに来たの?鳥さん。
コホン。
えー、このゲーム『巨神と誓女』ですが、サービス開始後かなりの話題となり大量のプレイヤーを確保したものの、3ヶ月経つと(自動周回ゲームのライバルと言えるミストトレインガールズの登場などにより)DMM R18版のランキングでも10位付近の常連となり目に見えて勢いを失っていきます。
先程アイノ様が仰られていたように、サービス開始直後の公式コミュニティでは色々としびれを切らせたせっかちなプレイヤーが暴れていたのも事実。
ただ巨神運営も基本的に無口だったけれどもそれに対して何の対策もせずに胡座をかいていたわけではありませんでした。この3ヶ月の間に様々な角度からバランス等に手を入れられています。
鳥さんのその未来を見てきたという設定に乗ってあげるとして…
バランスに手を入れたのならその結果遊び易くなってユーザ数を減らすことには繋がらないんじゃないの…?
そこで冒頭のアイアムアイノ宣言です★
サービス開始から3ヶ月後のアイノ様になりきって、アイノ様がこのゲームについて語っていることをそのままお伝えいたします。
Out of memoryエラーマジ少なくなったんだけどぉ〜
代わりに2、3戦するとフリーズするようになったぁ
てか任意のUI操作でフリーズするし、マジ限界★
おそらくプログラムが確保するメモリバッファを大きくしたため、低スペックPCでの動作が緩慢で不安定になったとみられる。
腹立つわぁ
ねんがんの自動周回機能もついたんだけど〜
アタシみたいなPC環境だとフリーズして実質自動周回できないからさぁ
マジ上位層と素材収集とかで差がつくっていうか〜
廃課金者とそれ以外のプレイヤーの差ではなく、1日中放置周回させられるプレイヤーがマジ有利になっててもう無理★
その変な口調やめる?それとも今死ぬ?
ヒィッ!
台本の尖ったカドをこちらに向けるのやめて下さい!!
…というかその話の仮定だと、エラーが頻発するのは私が使っているPCみたいなスペック低めの環境だけなわけで、スペック満たした環境を持っている多数のプレイヤーにとってはそこまで上位層と条件が変わらないんじゃないの?
自動周回については、(微々たる量の素材をオフラインでもランダムに拾い続けてくれる”かってにバトル”という仕組みはあったものの)基本的にPCを立ち上げ続けて戦闘を発生させ続けなければなりませんでした。PCスペックの問題に加えて、たとえば日中家を留守にしている間にもプログラムを起動し続けられる家庭環境があるかなども重要ですね。
アイノ様も先程仰っていましたように、このゲームでやることの中心は素材集め→神器・スキル開放でした。
自動周回が実装されて以降は、素材集めの最も効率の良い方法が、自身がPCの前に居ない状態でもずうっとプログラムを動作させておくことになります。なんならUIを操作する時間すらロスになってしまう。すると本ゲームのゲーム性とは一体どこにあるのか?プレイヤーが存在する意味とは?と根本的なところに疑問が向いてしまいます。
まあそれは確かに…上で解説した戦闘中のプレイヤー介入要素も全部無視していてもまるで不利が無いし、ゲーム性は薄いとなんとなく思っていたけれども。
戦闘面でプレイヤー要望に応えて”改善”を行った点はほかにも、巨神の行動ルーティン弱体化や部位破壊難易度引き下げなどがございます。
プレイヤーの爆発寸前の不満に対して育成ゴールをぐんと近付けて、さしあたりの達成感を与えるという形でガス抜きを図ったのでしょうが、これで結果的にゲームの賞味期限もぐんと近くなってしまったように思われます。
結局、運営が一番このゲームが何なのか理解していなかったような…
素材集め→神器・スキル開放のプロセスが一部の人にとっては簡略化されて最初に設定されたゴールに到達されてしまった、という経緯はわかったけれども、もしそうだとしたら新しいゴールを設定し直せばいいよね?
ええ。もちろんそのように考えるのが妥当でしょう。DMMプラットフォームの他のゲームを眺めましても、長くサービスを続けられているゲームというものはおおむね当初設定したゴールにはとうに到達されてしまっており、新しいゴールを建て増し建て増しして現在に至っているものが多数派でございます。たとえば高難易度コンテンツの実装、たとえばキャラの第2進化、第3進化というような限界突破システムの実装などです。
ですがその建て増し方法については、同様のシステムを有した先行ゲームを参考に行われているケースがほとんどです。DMMプラットフォームのゲームについては特に、ヒット作ゲームのエンジンのライセンスを受けてキャラの見た目だけをいかがわしく過激な服装の女性キャラに挿げ替えたゲームも多く、コピー元ゲームのアップデート履歴をなぞる形で(ときには評判が散々だった地雷アップデートなどは回避しつつ)ゲームを拡張していけば良いわけですから、台本があってそのとおりに演じてさえいれば良い劇のようなものです。
翻ってこの巨神と誓女を見てみますと、サービス開始時に謳われていたのは他ゲームでの煩雑なシステムを排した、”自由”を売りとしたゲーム性でした。
いつかの機会に(当連載とは別コンテンツで)語ることもあるかもしれませんが、巨神と誓女を含めた大量のゲームが一斉サービス終了した2021年までのDMMブラウザゲームは、主に同プラットフォーム内での競争で生き残るために”他のゲームより簡単!”や、”他のゲームよりガチャが引ける!”というようにユーザへの甘言をちらつかせる方向性での進化を究めていたような印象があります。
巨神と誓女の上の謳い文句はその極致といったところで、ユーザが他ゲームのプレイにうんざりし始めたタイミングで上の謳い文句を見たら、とりあえず手をつけてみようかな?と思うような魅力に溢れています。
この謳い文句が一体誰に向けてのものなの…?と考えると確かにブラウザゲームのご新規さん向けではないよね。
ただ他のゲームの甘言の場合、”他のゲームより簡単!(=やり込もうとすると装備開発などのやり込み要素がある)”、”他のゲームよりガチャが引ける!(=ガチャ自体の確率が渋い、あるいは重ねないとキャラが使い物にならない)”といったようにユーザへの譲歩である甘言の裏にはちゃんと譲歩の分を回収できる仕組みが用意されています。
待って。その話の流れだと巨神と誓女はユーザに7つも自由を提示したわりにその譲歩分を回収する仕組みを欠いていた、みたいになるけど、そんなことないでしょ?
素材集め→神器・スキル開放の遅々とした進まなさを目にして、私はどっしりと腰を落としてこのゲームに向き合うべきだと思ったよ。それが仕組みなんじゃないの?
ええ。そこは実際、ユーザに沢山自由を提示して始まったこのゲームが早々に刈り尽くされて終わってしまわないための屋台骨的な仕組みだったと思います。
けれども、不満を溜めたユーザへの懐柔策として、運営は早々にその屋台骨を砕いてしまいました。
あ…
その結果、延命のために建て増しを行おうと思っても屋台骨が存在しない状態で、かといってユーザに譲歩した分を取り消そうとしても、甘言によって集まったユーザでしたからそれを容認して気長に待ってくれるはずもなく…
振り返ってみますと、巨神と誓女のゲーム部分については企画書の青写真段階では全ての無駄を削ぎ落としたバランスの取れた建築としてギリギリ立っていたのだと思われます。実際当記事で紹介されているスクショを見て楽しそう、遊んでみたいと思われる方も沢山いるでしょう。
一方実際にオンラインゲームとして運用が始まってみますと、建物が少し強目の風に吹かれたりしたときにバランスを立て直すためのあそびが無い建築でした。他のゲームがユーザの不満をいなすためホイホイ建物内の仕切りを取り外して近道を提供するようなことを見様見真似やったら、実は取り外していたのは重要な屋台骨だった。そのような比喩こそが妥当でしょうか。
アイノ様にはこのままサービス継続時空のユーザを演じていただきましょう
っと。
私のフキダシが続いて会話のリズムが悪くなってますね。このあたりでアイノ様に適当な相槌を入れていただかないと。
アイノ様。
…アイノ様?
わぁい人気ランキング1位報酬でガチャ引いたらょぅι゛ょキター
ランキングでも1位だし覇権ゲーだね!このゲームはあと5750年続くね!
アイノ様…
現実から目を逸らして…(ぶわっ)
とはいえ往時のこのゲームの紹介を続けるのに、アイノ様がサービス継続時空の住民であることは都合が良かったりします。
次はまたいつになるかわかりませんが、引き続きゲームの紹介記事をあなたさまのお手元に届けましょう。
tips:本当にいつになるのかわからないぞ
まあゲーム内容が執筆者の頭の中から消え失せないうちにいつか、どうにか。
コメント
[…] 前回久しぶりに記事を投稿したこの連載。脱稿まで長かったね。 今回からはもう少し小さいテーマでこのゲームを語っていきましょう。 いつかゲームが復活の刻を迎えた際に、こんな時代もあったわね、と懐かしむことができるように。 […]
[…] アイノの巨神と誓女プレイ記 第2章 『戦闘システムを振り返ってみよう』 … […]